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第10回500m美術館賞入選者決定

審査、2次面接審査を経て、3人の審査員による厳正な審査の結果、4組のアーティストが選出されました。2023年1月21日からはじまる500m美術鑑賞入選展では、下記4組のアーティストがガラスケース2基を使用した応募プランを展示します。

■入選者(50音順)

植村宏木

時代透析

florian gadenne + miki okubo

吉田未空

 

■審査員

審査委員長

三橋 純予 (北海道教育大学岩見沢校美術文化専攻教授)

審査員

吉崎 元章(本郷新記念札幌彫刻美術館館長)

ゲスト審査員

木村絵理子(横浜美術館 主任学芸員)

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展覧会初日1月21日には、審査員3名により実際の展示を審査しグランプリが決定します。

入選者のアーティスト情報や審査員からのコメントは随時ホームページにアップ致しますので、お見逃しなく!

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●第10回500m美術館賞グランプリ授賞式

日時:2023年1月21日(日)18:00-
会場:カナモトホール(札幌市民ホール)第3会議室(札幌市中央区北1条西1丁目)

※新型コロナウイルス感染拡大状況によってはオンラインでの授賞式になる可能性もあります。

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●第10回500m美術館賞入選展

2023年1月21日(土)~3月29日(水)

植村宏木・時代透析・florian gadenne + miki okubo・吉田未空

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500m美術館 vol.40「笑う門には福きたるーFortune comes in by a merry gate」

注目

2019年末からのコロナ禍から世界は大きく変貌し、様々な面での規制がありました。

各種の制限は解除されつつありますが、わたしたちの生活が以前のように戻るとは思えないばかりか、わたしたちはいつしかそれに順応し、当たり前のように毎日を暮らすのかもしれません。しかし何処が日常の意識には現れない不安、閉塞感のようなものがあり、ストレスを感じている人も少なくないのではないでしょうか。

本展「笑う門には福きたるーFortune comes in by a merry gate」は、ユニークだったり、コミカルだったり、ほっこりしたり、クスッとしたり、ニヤッとするような作品を集め、今だからこそ見る人たちが作品を見て笑顔になる、リラックスしていただける展覧会を開催いたします。

 

アーティスト(五十音順)

岡碧幸 、菊地和広 、田口 虹太 、只野(石倉)美萌菜 、橘雅也

深澤孝史、 祭太郎 、山口哲志 

会期:2022年11月19日(土)~ 2023年1月11日(水)

時間:7:30~22:00

会場:札幌大通地下ギャラリー500m美術館

住所:札幌市中央区大通西1丁目~大通東2丁目 (札幌市営地下鉄大通駅と地下鉄東西線バスセンター前駅間の地下コンコース内)

主催:札幌市

企画運営:有限会社クンスト/CAI現代芸術研究所/CAI03、一般社団法人 PROJECTA

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制作風景

 

展示風景

祭太郎

菊地和広

田口虹太

岡碧幸

山口哲志

山口哲志

 

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ご来場いただいた方を対象にWEBアンケートを実施しております。
今後のより良い企画運営のため、ご協力お願いいたします。
【回答方法】下記のURLにアクセスしてご回答ください。
https://www.city.sapporo.jp/shimin/bunka/500mbijutukan/2022_questionnaire500m.html
(札幌市公式ホームページ ホーム > 教育・文化・スポーツ>文化・芸術>札幌市所管の文化施設について(指定管理者制度など)>札幌大通地下ギャラリー「500m美術館」)

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500m美術館 vol.40 500メーターズプロジェクト009
美術学生展「たまごのキミはきいろかオレンジか」

注目

会期:2022年11月19日(土)~2023年3月29日(水)7:30~22:00
参加作家:(札幌市営地下鉄大通駅からバスセンター前駅方向に展示順)

松木七夕花(札幌市立大学)、asao+kakeru+kansuke(札幌市立大学)、

     来田玲子(札幌市立大学)、TeRa、伊藤菜緒(札幌デザイナー学院)、

     日笠葵依(札幌大谷大学)、Jelly Fish(札幌市立大学)、TYT(札幌市立大学)、

     浜谷雪未(札幌大谷大学)、下村句里子(CAIアートスクール)、

田尻佳菜(札幌市立大学)、松崎七海(札幌デザイナー学院)、Glattony、

本保 泰星(札幌大谷大学)、 佐藤旺心(北翔大学)        合計15組 

          


           

              


この度、私たち「500メーターズプロジェクト009」では開催期間が北海道の長い冬と重なることから、鑑賞される皆様に少しでも暖かく明るい気持ちになっていただきたいという願いを込めて今回の500m美術館vol.40美術学生展「たまごのキミはきいろかオレンジか」を企画し、「イエロー」を共通のモチーフとする事に致しました。
光のように輝き、バタークリームのように淡く、そしてレモンのように爽やかだけど夕焼けのように情熱的でもある「イエロー」。
そんな表情豊かなイエローの諧調を駆使しながら、薄暗くて長い洞窟のような支持体にペイントしてもらうにはコロナ禍で作品発表の機会を失った「アーティストの卵」のみなさんの熱く純粋な衝動を思う存分ぶつけていただくのが相応しいのでは無いかと思い、この度現役学生もしくは卒業後3年以内の方々に作品制作を依頼いたしました。類い稀な規格外の横長比率やパブリックスペースでの制作、数々の制約など、特殊な環境下で生まれた作品を十分に楽しんでいただければ光栄です。


 

 

 

 

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「500メーターズとは?」
札幌大通地下ギャラリー500m美術館を拠点に、アートマネジメントを学びながら活動するボランティアチームです。2013年度の結成以来、年度ごとに組織され、アーティストの制作・展示の補助や美術館の清掃など、500m美術館の運営管理をサポートするとともに、「500メーターズプロジェクト」として、毎月ミーティングを重ねながら、500mメーターズによる企画展の実施に向けた活動に取り組んでいます。

主催:札幌市

企画運営:有限会社クンスト/CAI現代芸術研究所/CAI03、一般社団法人 PROJECTA

 

 

 

 

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制作風景

 

 

 

 

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ご来場いただいた方を対象にWEBアンケートを実施しております。
今後のより良い企画運営のため、ご協力お願いいたします。
【回答方法】下記のURLにアクセスしてご回答ください。
https://www.city.sapporo.jp/shimin/bunka/500mbijutukan/2022_questionnaire500m.html
(札幌市公式ホームページ ホーム > 教育・文化・スポーツ>文化・芸術>札幌市所管の文化施設について(指定管理者制度など)>札幌大通地下ギャラリー「500m美術館」)

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第10回 500m美術館賞の応募は締め切りました。

今年もたくさんのご応募ありがとうございました。

入選作家が決定いたしましたらまたお知らせ致します(11月予定)。

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500m美術館vol.39上遠野敏展「命と祈りの約束」

注目

500m美術館では北海道の現代美術を牽引してきた作家たちを取り上げ個展形式で発表する企画を昨年から行なっています。その第二弾として500m美術館vol.39は、美術家であり札幌市立大学名誉教授の上遠野 敏の展覧会を開催します。

東京藝術大学大学院彫刻専攻修了後、札幌市立大学で教鞭を執りつつ長年にわたり美術家として国内外で作品を発表してきた上遠野は現在、大学を退官し三笠にアトリエを構え積極的な制作活動を展開しています。三笠をアトリエに選んだのは上遠野が2004年から関わってきた空知地区の炭鉱跡地アートプロジェクトの延長上のことでしょう。この炭鉱跡地アートプロジェクトで上遠野はアーティスト兼ディレクターを務め、近代化における人間社会と自然との関わりの中に発生するポジティブとネガディブの両面を北海道の産炭地を舞台に検証し、美術表現で自然と人間との新たな共生を示唆しています。

上遠野は炭鉱跡地アートプロジェクトの他、北海道に伝わる歴史文化、さらに自然を神としたアニミズムや神仏習合にみられる見えないものに対する人の行いに美しさを見出しつつ、森の木や石に紙垂、御幣、エリモノなど、古くから伝わる古神道の儀式行為を上遠野独自の現代美術表現で行い、時には仏師となり地蔵制作や近代の偉人を仏像化する仕事もしています。

近年の上遠野の表現行為は、世の中の全ての物事に精霊が存在することを信じつつ、常に全てにおいて感謝の念を抱いているかのように見えてなりません。2020年に上遠野が参加した野外美術展では、自ら制作した地蔵の周りに数百本の造花を丁寧に地面に植え付けました。造花といえども祈ることで命が宿る神聖な作品へと昇華され、そこにも精霊が存在することを誰もが感じたことでしょう。

上遠野の表現行為は見えない何かとの神聖な約束を果たしているようにみえます。500m美術館vol.39は上遠野の長年にわたる造形行為の軌跡と感謝の表現形を多くの道民市民と共有したいと企画したものです。

 

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■500m美術館vol.39

上遠野敏展「命と祈りの約束」 展覧会概要

 

 

 

会 期 |2022年8月20日(土)〜10月26日(水)

会 場|札幌大通地下ギャラリー500m美術館

住所|札幌市中央区大通西1丁目~大通東2丁目
(札幌市営地下鉄大通駅と地下鉄東西線バスセンター前駅間の地下コンコース)

時 間|7:30~22:00

展示作家|上遠野 敏

主 催|札幌市

企画運営|CAI現代芸術研究所/CAI03(有限会社クンスト)、一般社団法人PROJECTA

 

 

※本展はガラスケース8基での開催となります。

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制作風景

https://www.youtube.com/watch?v=X9-4lRClQvw

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展示風景

ご来場いただいた方を対象にWEBアンケートを実施しております。
今後のより良い企画運営のため、ご協力お願いいたします。
【回答方法】下記のURLにアクセスしてご回答ください。
https://www.city.sapporo.jp/shimin/bunka/500mbijutukan/2022_questionnaire500m.html
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第10回美術館賞 募集開始!応募期間 8/1~9/30まで

第10回 500m美術館賞 現代アートの作品プラン及び企画プランのコンペティション!

今年も第10回 札幌500m美術館賞を開催します!!

作品プラン・企画プランは、8月1日(月)−9月30日(金)まで募集!!

今年もたくさんのご応募をお待ちしております。

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■開催概要 500m美術館では、2022年度も現代アートの作品プランおよび企画プランのコンペティション「第10回 札幌500m美術館賞」を実施します。

500m美術館のガラスケース(幅12,000mm × 高さ2,000mm × 奥行650mm)2基、全長24mの作品展示プランを募集。アーティストの個展、キュレーターによる企画展、作家同士のグループ展など、ガラスケース2基の空間を生かしたプランの中から4組を選出。二次審査を通過した入選者4組には「500m美術館賞入選展」として、500m美術館に実際に展示していただきます。

展覧会初日に審査し、その中から1組をグランプリに選出します。

たくさんのご応募をお待ちしております。

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■ゲスト審査員 木村絵理子(横浜美術館 主任学芸員)

■審査員 三橋 純予 (北海道教育大学岩見沢校美術文化専攻教授)

吉崎元章(本郷新彫刻美術館館長)

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■募集期間 2022年8月1日(月)−9月30日(金)[必着]

■出品料 無料

■制作費 二次審査を通過された4組に各20万円

■賞金 4組の中からグランプリに選出された1組には賞金20万円

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■第10回500m美術館賞入選展 会期 2023年1⽉21⽇(⼟)~3⽉29⽇(⽔)

■展示場所 500m美術館ガラスケース

(幅12,000mm×高さ2000mm×奥行650mm)2基 全長24m

(所在地: 札幌市中央区大通西1丁目~大通東2丁目 (札幌市営地下鉄大通駅と地下鉄東西線バスセンター前 駅を結ぶ 地下コンコース(地下2階相当)内)

■ 500m美術館賞グランプリ審査・授賞式・アーティストトーク 2023年1月21日(土)

※新型コロナウイルス感染拡大状況によってはオンラインでの授賞式になる可能性もあります。

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■応募から展示までの流れ

1.応募開始 2022年8月1日(月)

2.応募締め切 2022年9月30日(金)[必着]

3.一次審査 2022年10月中旬

4.二次面接審査 2022年11月初旬(10:00〜)入選作家決定

5.作品設営期間 2023年1月18日(水)~1月20日(金)10:00-17:00(3日間)

6.展覧会期間 2023年1⽉21⽇(⼟)~3⽉29⽇(⽔)

7.搬出撤去 2023年3月30日(木)〜31日(金)10:00-17:00(2日間)

※ 一次審査通過者にのみ10月中旬までにメールで通知

※ 二次審査に通過した入選者4組は11月下旬に500m美術館のホームページで告知

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■応募方法 応募方法・応募要項に関する詳細につきましては、以下よりダウンロードください。

[応募用紙] Word|500m__Award_2022_form.

PDF|500m_Award_2022_form

[応募要項] Word|Award_2022_guideline /

PDF|Award_2022_guideline /

[施設概要] URL| http://500m.jp/about

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■応募先およびお問い合わせ先

(500m美術館企画運営業務受託者)

CAI現代芸術研究所/CAI03 担当:佐野

〒064-0914 北海道札幌市中央区南14条西6丁目6-3

E-mail:sano@cai-net.jp

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■主催 札幌市市民文化局文化部 Tel:011-211-2261

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500m美術館 vol.38会期延長のお知らせ

4月23日より開催中の展覧会の会期を、以下のとおり延長いたします。

vol.38 「ながめのいい場所」

当初予定 : 2022年4月23日(土)~7月6日(水)

→変更後 : 2022年4月23日(土)~8月3日(水)

vol.38 The WALL vol.3 国松紗智子 「Line of Sight – 視線」

当初予定 : 2022年4月23日(土)~10月12日(水)

→変更後 : 2022年4月23日(土)~10月26日(水)

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第9期「500メーターズ」ボランティアメンバー大募集!!

2022年5月より、500m美術館の企画・制作・管理・運営など業務をサポートしてくれるボランティアのアートマネジメントチーム「500メーターズ」の第9期メンバーを大募集します!

500メーターズとは、アーティストの作品制作アシスタントや展示サポートのほか、展覧会の企画や運営方法を学ぶ市内の学生や社会人などで結成された市民ボランティア組織です。2022年10月に、500メーターズプロジェクト009としての500m美術館での展覧会を予定しており、その実施へ向けた企画会議を行います。

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<第9期500メーターズ活動期間>


2022年5月19日(木)~2023年3月末(期間中いつでも参加可能)     

スケジュールはこちら。    

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<参加条件>


・アートに興味があること。
・企画(展覧会)をつくることに興味があること。

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<定員>


先着20名。全日程に参加できなくても構いません。お気軽にご参加ください。

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お申込み方法


表題を「第9期500メーターズ参加希望」とし、
お名前、職業、生年月日、電話番号、PCメールアドレスの5つをご記載の上、
担当:長谷川 宛(info@projecta.or.jp)までご連絡ください。

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お問い合わせ 

一般社団法人PROJECTA
札幌市中央区北2条西4丁目1 赤れんがテラス5階 テラス計画
担当:長谷川
Mail info@projecta.or.jp
Web https://www.projecta.or.jp

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500m美術館 vol.38  The WALL vol.3 国松紗智子「Line of Sight – 視線」

注目

500m美術館の壁面ウォールを活用する「The WALL 」第3弾は、アーティスト国松紗智子を迎えて開催します。本展は約6カ月間という長期間の展示となり、現代の壁画を考察するものです。国松の浮遊感が漂う、繊細な線によるドローイングで、100mを超える巨大な壁面をある種、絵巻物用のようなドローイングの線のみで造形します。

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■500m美術館 vol.38 The WALL vol.3

国松紗智子「Line of Sight – 視線」展覧会概要

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会期|2022年4月23日(土)~10月26日(水)

※当初10月12日(水)終了予定でしたが会期延長となりました。

会場|札幌大通地下ギャラリー500m美術館

住所|札幌市中央区大通西1丁目~大通東2丁目
(札幌市営地下鉄大通駅と地下鉄東西線バスセンター前駅間の地下コンコース)

作家|国松紗智子

時間|7:30~22:00

主催|札幌市

企画運営|CAI現代芸術研究所/CAI03(有限会社クンスト)、一般社団法人PROJECTA

企画担当|高橋喜代史(一般社団法人PROJECTA)

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制作風景

展示風景

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第9回500m美術館賞 入選展 搬入風景

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kugenuma(キオ・グリフィス+港千尋) radio silence 毎週更新中

kugenumaのラジオ、毎週更新されています。

 

[kugenuma radio silence week#8]
radio silence  week # 8 オーストラリア/トンガ
世界各地から「ディスタンスの静寂」を届けるkugenumaの新作、radio silenceが更新されました。
第8週は南太平洋、ヌーサとトンガから。オーストラリア東海岸サンシャインコーストの北に位置するヌーサは、自然環境のなかで展開するユニークなアートフェスティバルで知られています。ジャンクションと呼ばれるダウンタウンの一角にはアートギャラリーがありますが、自然の音と都会の音がミックスされた豊かな音風景には、戻ってきたバイタリティが感じられます。
 いっぽうのトンガは、2022年1月15日に起きたフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山で大きな災害に見舞われました。稀に見る巨大な噴火は、太平洋沿岸地域で、空気の振動や大きな潮位の変動が観測されました。大西洋でも観測されたといいますから、海底火山は地球を一個のスピーカーに変えてしまったと言えるかもしれません。分厚い火山灰に覆われた海岸には、風と波の音がするばかりですが、その合間に子どもたちの声も混じり、レジリアンスの力を伝えているようです。
On-air now.
Episode 8: Noosa and Tonga
kugenuma’s radio silence is a weekly broadcast at the 500 Meter Museum transmitting “silences of distances” from around the world. Week 8’s program comes from the South Pacific, Noosa, and Tonga. Noosa is located north of the Sunshine Coast on Australia’s eastern seaboard, best-known for its natural environment-based art festivals. At Junction, Noosa’s downtown district, an art gallery is reignited with urban and nature sounds intermixing into a soundscape of renewed conviviality. On the contrary, Tonga suffered a major disaster with the Hunga Tonga-Hunga Ha’apai volcano on January 15, 2022. The rare and massive eruption triggered air oscillations and large tidal fluctuations in the Pacific coastal regions. The soundwaves have been monitored as far as the Atlantic Ocean. We could believe that the undersea volcano turned the earth into a single audio speaker. There are only the sounds of winds and waves on the coast covered with thick volcanic ash, but within and between the sounds, children’s voices emerge in and out, seemingly conveying the power of resilience.

 

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radio silence  week # 7 ジョン・ケージ /武満徹 特集

世界各地から「ディスタンスの静寂」を届けるkugenumaの新作、radio silenceが更新されました。第7週は特別プログラムとして、ジョン・ケージと武満徹へのオマージュで構成しています。

radio silenceはジョン・ケージ作曲「4分33秒」の、1952年初演から70周年に際したオマージュでもあります。ケージのこの作品は「沈黙の発明」として、音楽のみならず、現代芸術に大きな影響を与えました。右チャンネルはキノコの世界的研究者でもあったケージが80年代に行ったレクチャーを元にしています。

ケージが最初に来日したのは1962年ですが、その機会に札幌で現代音楽祭を企画したのが、武満徹でした。同行したデビッド・チュードアとともに、ケージは登別温泉の地獄谷などを訪れたことが知られています。それ以降、武満と札幌との交流は深く、1982年には札幌交響楽団による世界初演コンサートも開かれました。左チャンネルでは、その際に行われた特別講演のなかの、あるエピソードを取り上げています。詳しくは、今週発売になった新刊『武満徹、世界の・札幌の』をご覧ください。

 

On-air now.

Episode 7: Cage / Takemitsu Tribute

kugenuma’s radio silence is a weekly broadcast at the 500 Meter Museum transmitting “silences of distances” from around the world. This week’s program is a special tribute to John Cage and Toru Takemitsu. Conceptually, radio silence is also an unspoken tribute to John Cage’s “4 minutes 33 seconds”, this year being the 70th anniversary of its premiere in 1952. This “Invention of Silence” was Cage’s seminal work having a significant influence on the future directions of new music and contemporary art. The right channel audio source is an excerpt from Cage’s 1985 performance of his mesostic poem “MUSHROOMS et Variationes.” As a world-renowned researcher of mushrooms, Cage frequently implemented it as a medium for his compositions.

 

When John Cage first visited Japan in 1962, Toru Takemitsu organized a contemporary music festival in Sapporo for that occasion. Accompanied by long-time collaborator David Tudor, the troupe visited the Jigokudani site of Noboribetsu Hot Springs, among other areas around Sapporo. This historic visit also established a meaningful connection between Takemitsu and the city of Sapporo for years to come. In 1982, a legendary concert featuring the world premiere of three Takemitsu pieces was performed by the Sapporo Symphony Orchestra. The left channel audio features an episode about a special lecture organized for the composer on the occasion of the concert. Further readings on this subject are available in a forthcoming book, “Toru Takemitsu: Of The World / Of Sapporo.”

 

 

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[kugenuma radio silence #5]

 

 

世界各地から「ディスタンスの静寂」を届けるkugenumaの新作、radio silenceが更新されました。

第5週のプログラムはスウェーデンの首都ストックホルムとバルト海の対岸にあるフィンランドの都市トゥルクから。さまざまなミュージアムが集まるストックホルムの街角を散歩する人は、ふと陸軍博物館の前で足を止めます。静かな日常のなかにも、かすかな変化が起きている。戦争の影でしょうか。トゥルクからの音にも車を運転するような、ごく普通の一日が聞こえますが、女性の声が語るのは、コロナ流行以来一家の交流が途絶えたことへの嘆き。家族の歴史がきざまれているサマーハウスにも、ディスタンスがもたらす沈黙が訪れているようです。

 

On-air now.

Episode 5: Stockholm and Turku

kugenuma’s radio silence is a weekly broadcast at the 500 Meter Museum transmitting “silences of distances” from around the world. The fifth week’s program comes from Stockholm, the capital of Sweden, and Turku, a city in Finland on the other side of the Baltic Sea. Strolling along the streets of Stockholm, the city of museums, we take note of the Swedish Army Museum. Even in the quietness of everyday life, a faint change is taking place. Is it the shadow of war? The sounds from Turku are of another ordinary, everyday life of driving a car, but a woman’s voice laments the loss of family interaction since the pandemic. It seems that even in the summer house, where the family’s history is profound, there is a silence brought about by distancing. Her mourning is the loss of contact with other members of her mother’s family who no longer feel the need for genuine encounters and communication. Underlying the situation is the exercise of power that led to the sale of a shared historic summer place that had been a natural meeting place for the family and where the children grew up into the family. Now that history is cut off.

 

 

 

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[kugenuma radio silence #4]

 

On-air now.

Episode 4: Ukraine

kugenuma’s radio silence is a weekly broadcast at the 500 Meter Museum transmitting “silences of distances” from around the world.

This week’s program streams from Kherson, southern Ukraine.

 

This waterside scene in the Dnieper River basin is where migratory birds arrive with the coming of spring. This recording was made before the Russian military invasion and Kherson is reportedly in imminent danger of capture.We pray for the safety of the citizens and the urgent restoration of peace. The following is an English translation of the audio narration.

 

It is the end of winter, and I am sitting on the bank of the Dnieper River.

There are many lakes in the delta of southern Ukraine.

Nature is awakening. There is still no green; everything is gray.

We can hear the birds singing. Some birds seem to have overwintered.

The migratory birds will be here soon.

There is no wind, and it is very quiet, but yesterday, the weather was completely different.

Silence, peace, and the irreplaceable workings of nature.

 

 

世界各地から「ディスタンスの静寂」を届けるkugenumaの新作、radio silenceが更新されました。第4週のプログラムはウクライナ南部の街ヘルソンから。春の訪れとともに渡り鳥がやってくるドニエプル川流域の水辺の風景。この録音はロシア軍の侵攻以前に行われたものですが、ヘルソンはいま制圧の危機に瀕していると報じられています。市民の無事と一刻もはやく平和が戻ってくることを心から願うばかりです。以下は後半に収められている語りの日本語訳です。

 

冬の終わり、わたしはドニエプル川の土手に腰掛けています。

ウクライナ南部のデルタ地帯には湖がたくさんあります。

自然が目覚めています。

まだ緑はなく、すべてがグレー。

鳥の声が聞こえてますね。越冬した鳥もいるようです。

もうすぐ渡り鳥がやってきそう。

風はなくとても静かですが、昨日はまったく違う天気でした。

静寂、平和、かけがえのない自然の営み。

 

 

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第9回500m美術館賞 入選展で展示中のkugenuma(キオ・グリフィス+港千尋)

世界各地から「ディスタンスの静寂」を届けるradio silenceが更新されました。

 

第3週のプログラムは済州島と沖縄から。 風の島と呼ばれる済州島南岸にあるクロンビ海岸。巨大な一枚岩で知られる景勝地ですが、ここには巨大な海軍基地が建設され、景観は大きく変わっています。いっぽう沖縄那覇市の新都心、丘からの眺めはふつうの都市に見えますが、ここにも軍事化された島の歴史が横たわっています。地理的にも歴史的にも共通点の少なくない2つの島ですが、軍事化に抵抗する眼差しも共有されているようです。

 

On-air now. Episode 3: Jeju Island and Okinawa ​ kugenuma’s radio silence is a weekly broadcast at the 500 Meter Museum transmitting “silences of distances” from around the world. ​ This week’s program streams from Jeju island and Okinawa. Gureombi Beach is located on the southern coast of Jeju Island, also known as the Island of the Winds. It is a scenic spot known for its colossal monolithic rocks, but the landscape has been drastically interrupted by the construction of an exorbitant naval base. Meanwhile, Naha City, Okinawa’s Shin-Toshin urban center, seems like a typical cityscape from the hills, but the history of this militarized island runs deep. Geographically and historically, the two islands have much in common, and they also share a familiar gaze that resists militarization

 

 

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[kugenuma radio silence  episode 2  On-air now]

radio silence放送中!

世界各地から「ディスタンスの静寂」を届けるkugenumaの新作、
radio silenceが更新されました。

第2週のプログラムはカナダ/アメリカの国境をはさみ、トロントとデトロイトから。国境にあるアンバサダーブリッジは、カナダが新たに導入した新型コロナ規制に抗議するトラック運転手により始まった抗議デモで閉鎖され、北米最大の物流と人流が止まったままで、オタワをはじめ大都市では非常事態が続いています。トロント郊外では、ふだんは騒音でしかない車の音が、たゆみない日常の証であることを感じさせる高層マンションから、いっぽうデトロイト側ではアンバサダーブリッジ付近から、それぞれのサイレンスをお届けします。500メートル美術館会場のkugenuma作品のQRコードから、あるいはこちらのリンクからお聴きください。

https://www.mei-senses.com/kugenuma-radiosilence-at-sapporo-oodori500mwalkwaygallery-20220212-mei-join-kugenuma

 

On-air now.

Episode 2: Toronto / Detroit

 

kugenuma’s radio silence is a weekly broadcast at the 500 Meter Museum transmitting “silences of distances” from around the world.

 

This week’s incoming program streams from Toronto, Canada, and Detroit, Michigan’s Ambassador Bridge. The U.S./Canada border has been closed due to protests initiated by truck drivers denouncing Canada’s newly introduced COVID regulations. As a result, the heaviest logistics and traffic flow in North America has halted, leaving Ottawa and other neighboring metropolitan areas in a state of emergency. The suburbs of Toronto resonate in the white noise of moving cars, a reminder of daily life. In Detroit, the evocative silence from the Ambassador Bridge flows below into the Detroit River. Tune in by scanning the QR code of kugenuma’s worksite at the 500 meter museum or from the following link.

https://www.mei-senses.com/kugenuma-radiosilence-at-sapporo-oodori500mwalkwaygallery-20220212-mei-join-kugenuma

 

 

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radio silenceについて

 

radio silence は<ソーシャル・ディスタンス時代のラジオ>です。ガラスケースに閉じ込められた沈黙の風景の向こう側に、さまざまなサイレンスがひろがっています。埋め込まれたQRコードを読みこみ、ゆっくり歩きながら聴いてください。24メートルの風景に向かって、左側のQRコードを読み込むと左(L)チャンネル、向かって右端のQRコードを読み込むと右(R)チャンネルの音声を聴くことができます。離れた地点で録音された、それぞれのサイレンスが流れてきます。

<ラジオ>は2月12日にスタート、毎週土曜日に更新される予定です。第1回はLチャンネルが神奈川県の鵠沼海岸、Rチャンネルが米国ロサンゼルスにあるターミナル・アイランドの音です。たとえばiPhone2台で、LチャンネルとRチャンネルの音声を同時に再生すると、太平洋の両岸の音がステレオになります。片方は移民が渡っていった岸辺であり、他方は巨大監獄のある港湾でもあります。

2回目以降ではパンデミックで顕在化するボーダーや、沈黙を芸術の核心の問題として考え抜いたジョン・ケージと武満徹の特集などを予定しています。それぞれの場所や状況に関する情報は、特設サイトでご覧ください。なお本作品は会場から遠く離れていても聴くことが可能な<ラジオ>です。

500m美術館のQRコードから、また下記のサイトからも聞くことができます。

 

https://www.mei-senses.com/kugenuma-radiosilence-at-sapporo-oodori500mwalkwaygallery-20220212-mei-join-kugenuma

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第9回500m美術館賞 審査員講評

第9回500m美術館賞 審査員講評を掲載します。

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500m美術館賞グランプリ審査講評

三橋純予(北海道教育大学美術文化専攻教授)

 

今回は最終に残った4組の展示から1組に絞ることが大変に難しく、グランプリが2組という結果となった。審査過程では多くの議論が行われたが、改めて、500m美術館の特徴的な展示空間の魅力や可能性も感じられた。

 

kugenuma(港千尋+キオ・グリフィス)

今回のグランプリとなったkugenumaは、展示も大型写真コラージュによりスタイリッシュにまとめられており、QRコードを読み取り、スマホ等でダウンロードした音声を聴きつつ、歩きながら展示を見ていく体験的な作品である。

審査では、ジョン・ケイジへのオマージュやラジオ放送とのつながり等の新しい試みが注目されたが、その中でも、500m美術館の特性である「公共空間にある長い通路」と、制限である「音を出せない」という両方の特徴を効果的に取り入れた企画が、今回は高く評価された。地下通路の展示空間を超えて世界中に拡大される作品は、国際公募である500m美術館グランプリ賞に相応しく、この展示空間のさらなる可能性を示してくれた。

 

 

木村直

もう一組のグランプリとなった木村直の作品は、「差別」という社会的テーマに向き合い、ハンセン病療養施設の垣根に使用されていた「柊(ひいらぎ)」に着目したシリーズである。社会的テーマを深く掘り下げ、「柊(ひいらぎ)」に込めた意味を写真、フォトグラムの異なるアプローチから展開したシリーズであり、特に解説では、作家の明確なスタンスを感じさせ、500m美術館の「公共空間」「通路」という特性を活かした展示であった。

歩きながら見ることを意識した額装写真のシークエンスはリアルな日常の再現を狙い、反対に柊のフォトグラムでは幻想的なイメージをインスタレーション的に展示し、解説では具体的なデータを持って客観的に解説していた。

まだ若い作家であるが、テーマへの誠実な取材姿勢が伝わる完成度の高い展示作品であった。

 

 

白川深紅

500m美術館の展示空間で、シンプルに「とにかくこれを作りたい」という若い情熱がみなぎった作品であり、制作意欲が鑑賞者にまっすぐに伝わる作品である。コンセプトを漫画で表したことも効果的であったと思う。皮膚のような伸びる素材にテンションをかけて大きく配置した作品はインパクトが大きく、新しい水墨画の表現としても面白いと感じられた。

プレゼンテーション段階では、初めての試みであることから実現性に少し不安もあったが、最終的にきちんと完成されて美しい表現となった。今回の作品のように、創造的なエネルギーは制作には大切な要素であるので、今後の活動にも期待したい。

 

 

朴炫貞

北大の撤去された橋のアーカイブプロジェクトの一環とした展示プランであり、他のドキュメント記録や活動とつながる興味深い企画で、公共性や地域性からも500m美術館の特性に適していることから最終展示に残った企画である。展示企画プレゼンテーション時にはプロジェクトデータや記録写真を多く見せており、撤去の経緯が視覚的にも理解しやすかったが、最終展示ではそれらを整理したことで、多くの人が関わっているプロジェクトの印象が少し弱くなったと感じられる。500m美術館の展示をみた人が、このプロジェクトにつながる更なる工夫なども、展示期間中に行えってもいいだろう。

 

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500m美術館賞の審査を終えて

—ここだからこその表現とは何か—

 

吉崎元章(本郷新記念札幌彫刻美術館館長)

 

今回はグランプリが2組となった。それぞれの作品の方向性が異なるなかで、
年齢や経歴などではなく、あくまでも作品本位で審査し、議論を重ねた結果である。

この500m美術館は、札幌都心部の地下通路沿いに細長く続くガラス張りの特異な展示スペースであり、公共空間であるだけに何かと制約も多い。この賞も9回目を数えるが、毎回、それらをいかに必然的な要素として作品に活かしていくかがひとつの鍵になっているとも言える。他の審査員の講評とあまり重ならないように、この点を中心に大通駅側から順に各作品を見ていきたい。

 

グランプリのkugenuma(港千尋+キオ・グリフィス)による作品は、この場所では音を出すことができないというデメリットを、〈沈黙〉の場として肯定的にとらえ、スマホでのアクセスによる音源を個別に聞きながら鑑賞する方法を取り入れるという逆転の発想を高く評価した。また、通勤通学で毎日のように作品の前を通る人も多いが、提供される音源が定期的に更新されていくので、何度も楽しめるという点もおもしろい。

 

同じくグランプリの木村直の作品は、写真を横一列に整然と並べることで、被写体となったハンセン病療養施設のあった緑地の垣根やフェンスの連なりを強化し、作品の前を日常的に人々が行き交う500m美術館だからこそ、その隔たりをより強く感じさせるものになっている。また、与えられた2基のブースで展示内容を変えたことも効果的であった。かつて非合理に差別されていたことの痕跡を示し、いまもさまざまなところで無意識的な差別が蔓延していることを問う作品には、ギャラリーではなくこうした場の方がまさに相応しい。

 

白川深紅の作品は、巨大な布を天井からの吊るしと石の重みによって前後に波打つように張ることで、ボックス状の展示空間全体をフルに活用している。テンションがかかった布とそこに描かれたダイナミックな墨画、そして、石。物質性と身体性を充満させた力強さと、空間づくりの繊細さに魅力を感じた。展示場所の上の地上には雪が積もっていることを念頭に、まだ見ぬ北海道の雪を、友人に拾ってもらった小樽の海岸の石の記憶を頼りに表そうというコンセプトはおもしろいが、作品自体からそれがもっと伝わってきてほしかった。

 

朴炫貞の作品は、最近取り壊された北大の橋に関連するプレートやガードレール、写真、図面などが標本のように淡々と並べられている。確かにこのスペースは、美術館や博物館の壁面に据えられたガラス張りの展示ケースと同じようなつくりである。しかし、前面のガラスに貼られた、この橋にまつわるいくつもの思い出話によって、展示物に染み付いた記憶や物語を紡ぎ出し、命を与えている。リサーチベースの作品であるので、もっとさまざまなエピソード素材を集めていたにちがいない。それらをややスマートに整理し過ぎているようにも感じた。さらに深める余地を十分に残した取り組みであり、今後の展開が楽しみである。

 

500m美術館には、私も常設化検討の段階から長く関わってきたのだが、この500m美術館賞は、この場所の全国的な知名度アップと、我々が未知の作家による場の可能性を広げる斬新な表現を期待する重要な事業として位置づけてきたと記憶している。展示人数や一人あたりのスペース変更などいろいろと規定を変え、試行錯誤するなかで、次回でちょうど10回目を迎える。

今後どのように継続していくべきか、現状を見つめながら、この賞のさらなる特徴づけと意義を改めて考える時期に来ていると感じている。

 

 

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500m美術館審査を終えて

 

 

荒木夏実

 

 

kugenuma(港千尋+キオ・グリフィス)は今回一番キャリアのあるアーティストユニットとして高いクオリティを見せた。北海道の大地を写したモノクロ写真のインスタレーションに見る人を強く惹きつける力がある。QRコードを読み込むとLチャンネルから鵠沼海岸、Rチャンネルからロサンゼルスのターミナル・アイランドで採取された音が聞こえてくる仕掛けも面白い。ジョン・ケージと武満徹の特集もこの「ラジオ」で発信される。札幌に行かずとも音を通して作品を鑑賞することができる試みだ。

 

 

グランプリのダブル受賞となった木村直は、ハンセン病療養施設である国立療養所多磨全生園の柊木の垣根やフェンスを被写体とし、「隔離」の形を視覚化した。整然と並べたゼラチンシルバープリントのシリーズとともに展示した、現場の柊木そのものを写し取ったフォトグラムのインパクトは大きい。概念ではなく、そこにいる人々の存在および隔離の歴史と現在をはっきりと物語っている。読みやすく掲示された療養所に関する解説を含め、社会的問題提起の展示を公共空間で行った意味を評価したい。

 

 

朴炫貞の《アノハシ》は、老朽化により撤去された北大のキャンパスをつなぐ跨道橋をテーマに、人々の記憶に残る橋のイメージを可視化するプロジェクト。着眼点のユニークさに比して展示表現がやや弱い印象を受けた。コロナ禍という不利な状況によって、十分な数のコメントや資料が得られなかったであろうことが想像できる。1972年の札幌冬季オリンピックに関連して作られた橋が、ひっそりと忘れられていく50年の歴史を見つめるプロジェクトは魅力的である。継続と発展を期待している。

 

 

白川深紅による「皮膚のような掛け軸」を表現する試みは、500m美術館の横長のロケーションにマッチしていた。北海道の石を道内に住む友人に拾ってもらい、石の記憶を頼りに新しい山水のイメージを描くという発想や、それをわかりやすく鑑賞者に伝える漫画による解説も評価できる。直感と構成力は優れているがより深い考察が感じられるとよかった。山水画の歴史や石と大地との関係性、北海道という場所についての意味などについてじっくり向き合ってほしい。今後のアーティストとしての成長が楽しみだ。

 

 

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第9回500m美術館賞 グランプリ決定

第9回500m美術館賞入選展が2月12日からはじまり、
3名の審査員によるグランプリ選出の審査が行なわれ
グランプリ賞は、下記の2組に決定いたしました。

■第9回 500m美術館賞 グランプリ

kugenuma(キオ・グリフィス+港 千尋)

木村直

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第9回500m美術館賞グランプリは2月14日に発表します

第9回500m美術館賞 入選展を2月12日から入選者による展示を開催しています。

 

実際の作品審査でグランプリを決定し、500m美術館ホームページにて2月14日に発表します。

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「せんと、らせんと、」キュレーターによる作品と展示の解説

2021年12月11日より2022年2月2日まで、
札幌大通地下ギャラリー500m美術館において
「せんと、らせんと、」6人のアーティスト、4人のキュレーター を開催。

2021年12月12日 NPO S-AIR主催による
「北海道・札幌の文化と作品制作―キュレーターの視点から」が行われ、
その記録映像をご提供いただきました。

映像のなかでキュレーター4名による「せんと、らせんと、」の
作品と展示の解説があり、一部抜粋した映像を公開します。

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500m美術館vol.37 第9回500m美術館賞入選展

500m美術館vol.37

第9回500m美術館賞入選展

 

会期|2022年2月12日(土)~4月13日(水)

会場|札幌大通地下ギャラリー500m美術館

札幌市中央区大通西1丁目~大通東2丁目
(地下鉄大通駅と地下鉄東西線バスセンター前駅間の地下コンコース)

時間|7:30~22:00

主催|札幌市

企画運営|CAI現代芸術研究所/CAI03(有限会社クンスト)、一般社団法人PROJECTA

 

入選作家

kugenuma(キオ・グリフィス+港千尋)
木村 直
白川深紅
朴炫貞 [パク ヒョンジョン]

 

審査員

ゲスト審査員
荒木夏実(キュレーター・東京藝術大学准教授)

審査委員長
三橋 純予 (北海道教育大学岩見沢校美術文化専攻教授)

審査員
吉崎 元章(本郷新記念札幌彫刻美術館館長)

 

500m美術館では現代アートの作品プランおよび企画プランのコンペティション「第9回 500m美術館賞」を実施し、4組のアーティストが入選。2月12日から4組の入選者による展示を開催。実際の作品展示による審査でグランプリを決定し、500m美術館ホームページにて2月14日に発表します。

 

作家プロフィール

 

kugenuma(キオ・グリフィス+港千尋)

2016 年より活動を開始。ひとつの素材をもとにそれらを育む素質の多様性、セミオティクスの仕掛け、展開の限界値を探りながら呼応制作を方法論としている。インスタレーション、zineの制作、パフォーマンスなど表現方法は幅広い。代表作に夏至に向かって延びゆく日没時間をタペストリーの解かれた糸で測定表現した「vyakya」(2016)、実在の人物を素材とした「life of bryan」(2019)などがある。

 

 

木村直

1998年生まれ、埼玉県在住。

東京藝術大学 美術研究科 先端芸術表現専攻 修士課程 在籍

「国立ハンセン病療養所の記録と継承」と「見ない暴力」「見る暴力」を主軸に、写真・映像・インスタレーションを用いて制作を行う。母が大学生の頃、国立療養所沖縄愛楽園(ハンセン病療養所)に行ったことがきっかけで、2 歳ごろから両親に連れられて、国立療養所沖縄愛楽園に訪れる。 主な展覧会に2021年「ATLAS展-2021-」(東京藝術大学食堂ギャラリー/茨城)、2020年個展「2019年度東京造形大学卒業研究・卒業展 記録と継承 沖縄愛楽園と宮古南静園」(沖縄愛楽園交流会館/沖縄)など

 

白川深紅

1998年東京都生まれ。東京藝術大学美術学部先端芸術表現科在籍。

作品制作・展示行為を「身体の拡張」と捉え、次々と建ち顕れる境界を紡ぐ有機的な表現を探求している。昨今は、生まれた時から表現の場であったデジタル世界では表現しきれない重さや感触、存在感を求めて日本美術史の文脈を踏まえつつ素材研究に取り組んでいる。祖父の遺骨を砕き作品にした絵画『ストゥーパ』に端を発する人類遺骨画材化計画や、朽ちることを前提にデザインした恵比寿駅ガード下壁画制作など多領域にわたり活動中。

 

朴炫貞 [パク ヒョンジョン]

1984年生まれ、札幌市在住。韓国芸術総合大学および武蔵野美術大学大学院で学ぶ。博士(造形)。北海道大学 CoSTEPでアートを通した科学技術コミュニケーションの実践研究として、企画運営および作品制作を行う。言葉の間、生と死の間、時間の間、国の間、科学とアートなど、様々な境界におけるモノコトを様々な手法で記録することに関心を寄せる。記録のなかで見えてくる、普通が特別になる瞬間を集めて、記憶の空間として体験する作品を目指している。現在大学の古い温室をフィールドに「アノオンシツ」プロジェクト(2020~)を進行中。

 

 

展示風景

kugenuma(キオ・グリフィス+港千尋)

木村 直

白川深紅

朴炫貞 [パク ヒョンジョン]

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500メーターズプロジェクト搬入風景

500m美術館 vol36 500メーターズプロジェクト008
「おこもろいな」—そんなこともあったね—
搬入風景

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第9回 500m美術館賞 入選者 審査員コメント

入選者(50音順) 審査員コメント

 

kugenuma(港千尋・キオ・グリフィス)

「radio silence」

kugenumaは、ガラスケースの密閉された空間をひとつの「メディア」とし、「沈黙」という音をテーマにしたプランを提出した。音を出すことができないという500m美術館の制約を逆手にとったチャレンジに注目した。視覚的に興味深い展示物、ジョン・ケージの「4’33”」作曲70周年のオマージュを含んでいること、Q Rコードやラジオを通して音を聴くことができる仕掛けなど、展示が幾層にも重なって見ることと聞くことを楽しむことができる構造になっており、実際に体験してみたいと思わせる作品である。

 

木村直

「この森で誰かが、⽣活をしていた」
「らい園に美談などあるものか あらいでかというもの あなたもベロニカ」

木村直さんはハンセン病療養所の記録と継承をテーマに作品制作をしており、作品に社会との強い関わりが感じられる。写真の表現方法、技法が異なる2つのシリーズをそれぞれ別のガラスケースに設置することで、展示の見え方に広がりを持たせることができるだろう。国立療養所の垣根を写した作品「この森で誰かが生活をしていた」は、並べて展示することで実際の建物の横を通るような感覚を得ることができるのではないか。500m美術館の特性を生かした実際の展示を見てみたいと思わせた。

 

白川 深紅

「胸中山水」

巨大な皮膚を想起させるような布をストレッチさせて水墨を使用したプランは、素材や視覚的ダイナミズムを感じさせる魅力があった。獣の皮を干しているようなワイルドなイメージが想起され、展示への期待が高まった。北海道で根雪になる前の石を拾って使用していることも興味深い。プラン通りの効果が出るのかを事前に検証し、素材や技法に工夫を凝らして耐久性のあるインスタレーションになるように検討してほしい。

 

朴 炫貞

「さよなら、アノハシ ― 記録と記憶の間で」

朴がテーマにする石山通りに渡された北海道大学のキャンパスをつなぐ橋は、2021年10月に老朽化により撤去された。街の中で忘れられてしまう消えゆく存在にフォーカスした点が興味深かった。橋について覚えていることについて情報を市民から募る予定であり、それによって生き生きとしたエネルギーをもつ作品へと発展することが予想される。市民の記憶や歴史を通して新たな視点を得ようとする魅力的なプロジェクトだと感じた。

 

 

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