中嶋幸治
Koji Nakajima
photo : Keizo Kioku
提供 : 創造都市さっぽろ・国際芸術祭実行委員会
Profile
1982年、青森県生まれ。札幌在住 土地が持つ人間との関係性や歴史、また急速な近代化や都市化によって失われた記憶や自然観を冷静に検証し、詩的とも思われる文脈によって中嶋の作品は生成される。主な作品に、札幌市の全ての道路地図に鉄筆を用いて吸取紙へと転写した《往来、なけなし》(CAI現代芸術研究所、2008)、現在地から妻と二人それぞれの出生地へ、カメラのシャッターを10分間隔で押しながら帰途についた様子を展示空間内へ再現した「モーラ」(Temporary space、2008)、自然現象であり目には見えない風の肌理と自身の皮膚の状態とを手紙という媒体に集約させた「0m/s」(Cafe esquisse、2010)、作品の完成から誕生までの時間を遡り、やがて森の中の老木へと行き着く過程を表現したインスタレーション作品《アルペジオ》(ギャラリー門馬アネックス、2012)がある。他の活動として、札幌市の芸術文化の基底に新たな礎を築くことを目指す記録誌『分母』を自主制作、主宰している。今回の展示は、自然現象への接触や、急加速する文明へのアプローチとして、自身の皮膚状態の記録などといった、極私的な体験を共感させる作品を制作。都市と自然との間に介在するであろう目には見えない約束事に対して、双方向(都市と自然)から横断する私たち人間の視線を踏まえた作品を展開している。